遊戯王GX 魔術師の使い手 - ※外伝3 聖なる夜にX'masデュエル!!前編
月日は現在より少し先へ流れ・・・・・
クリスマス
誰もが心を躍らせ、楽しみにしている日
日本中、否、世界中の街はクリスマスムード一色となり、人々の心を喜ばせている
街ではメリークリスマスと書かれたネオンに、キラキラと輝くイルミネーション
そして、緑の樹に様々な装飾をつけ、樹の頂上に飾られている星が象徴的な、クリスマスツリー
これを見て、クリスマスを心待ちにしない者などいないだろう
そして、12月24日
クリスマスを楽しんでいるのは、ここデュエルアカデミアも例外ではない
校舎の入り口には大きなクリスマスツリーが飾られ、その横を数名の生徒が走り去っていく
「早く行こうぜ!パーティーが始まっちまう!!」
「早く行きましょう!!」
「ま、待ってよ� �~!」
彼らが、学園の掲示板の前を走り去っていく
その掲示板に、何枚か貼られた用紙の中でも大きめの用紙には、こう書かれていた
『12月24日!毎年恒例、デュエルアカデミア・クリスマスパーティ開催!!』
体育館では既に多くの生徒が集まっており、まもなく始まるパーティを、今か今かと心待ちにしている
その中には無論、彼等もいた
「もうそろそろか」
微笑を浮かべ、時刻を確認しながら呟く黒崎一真
「ああ!!楽しみだな~!!美味そうな料理も沢山あるし、クリスマスデュエル大会も早くやりて~!!」
「そうっスねアニキ~。ああ僕も早く料理が食べたい~」
「お、俺もだ。クリスマスの豪華な料理、すごく楽しみなんだなぁ」
次々と運ばれているクリスマスに相応しい料理を目で追いかけながら、垂れそうになる涎をこらえつつも、後に行われるデュエル大会を楽しみにしている遊城十代に、料理だけに夢中になっている丸藤翔に前田隼人
「悪いが今回は勝たせてもらうぞ十代。以前のようには行かないからな」
「どうかな!今度も俺が勝ってやるぜ!ってか三沢、いつからいたんだ?」
「クッ・・・ずっといたよ。というかさっきも言わなかったか?!� �
「あ、そうか?悪い悪い」
実力はかなりの実力だが何故か影の薄い三沢大地
「フフフ・・・皆、楽しそう。私も簡単に負けるわけには行かないわね」
「俺もこういった行事は嫌いじゃない。優勝も良いが、楽しめるデュエルができそうだ」
わいわいと騒いでいる面々を見ながら微笑む天上院明日香と、デュエル大会へ静かな闘志を燃やすカイザー事丸藤亮
「フン!クリスマスだからといって浮かれおって!このクリスマス・デュエル大会、優勝はこの万丈目サンダーだッ!!」
この学園の制服ではない漆黒の制服を纏い、デュエル大会の優勝を狙う万丈目準
十代は、体育館の隅でせっせと準備をしている茶色の服を着た人物を見つける
あなたがなると思われる場合
クリスマスらしい、緑を主体とした鮮やかな色合いの飾り付けをしている
するとその人物は、飾りつけが終了したらしく、ふぅ、というように額を腕で拭った
すると十代は、その人物へ声を掛ける
「トナカイのコスプレ、似合ってるぜ!!クロノス先生~~」
その言葉を聞いたトナカイ、否、トナカイのコスプレをしたクロノス教諭は振り返り、いつもは真っ白いその顔の肌を装着している鼻と同じ真っ赤な色に染めて怒鳴り返す
「うるさいノーネ!!放っておいて欲しいノーネ!!!」
その言葉に十代達だけでなく辺りにいた生徒は声に出して笑い出す
無論、侮蔑などではなく、普通に面白いという笑顔を
そしてクロノスは、職員 内でのクリスマスパーティの役割のくじ引きで、トナカイを引いてしまった自分の運の悪さを呪いながら、その場を離れていった
実を言うと、彼自身もこのコスプレ、恥ずかしながらも少々気に入っていた・・・・
まもなく開始されるデュエルアカデミア・クリスマスパーティでは、普通の学校のイベントでも行われることのあるカラオケ大会など、その他様々なイベントが計画され、特にこのパーティの目玉、それが、クリスマス・デュエル大会だ
実はこのパーティの数日前に出場を意思表示した大勢の生徒達による予選が行われ、今日はその予選を勝ち抜いたベスト8によって行われる
ブルー寮の中で高い実力を持つ黒崎一真
レッド寮のエースと言われている遊城十代
ここ最近の成長が目覚しい丸藤翔
ある事情で一度この学園を離れたものの、再び舞い戻り高い実力を誇る万丈目準
イエロー寮所属の頭脳派デュエルスト、三沢大地
最近から成績が上昇している女子生徒の中でも『オベリスクブルーの女王』と呼ばれる天上院明日香
カイザーの異名を持つ学園最強といわれる丸藤亮
そのカイザーと同等の力を持ち、同じく学園最強クラスの1人、天上院吹雪
学園内でも名が知れている8人によって行われる事もあって、全校生徒からも注目を浴びている
「ところで明日香、吹雪さんはどうした?見当たらないんだが・・・」
周りを見渡しながら明日香に尋ねる一真
「え?そういえばさっきから見当たらないわね・・・」
彼の妹である明日香も、自身の兄がいないことに気づいたらしい
「なぁ� ��、吹雪さんならパーティが始まるころにはすぐに来る筈さ」
「ならいいんだけど・・・なんだかいやな予感が・・・」
すると体育館の照明が、ガタン、という音と共にいっきに消され、体育館は一瞬で暗くなった
ザワザワ・・・
「お、始まったか!」
このときを待ちに待った十代は笑みを浮かべながらあたりを見回す
他の面々も、穏やかな笑みを浮かべている
なぜ日本は山岳国とみなされている
そして、体育館の舞台に、スポットライトが当てられ、あたりに設置されたスピーカーから大きな声が聴こえる
『デュエルアカデミアの諸君!!メリークリスマス!!!♪』
そこに現れたのは、クリスマスらしくサンタクロースの格好をした、天上院吹雪だった
「「「キャ~~~~!!!!!」」」
「吹雪サマ~~!♪」
「似合ってる~~!♪」
女子からの人気が非常に高いため、彼の登場に全校の女子から黄色い声援が飛び交う
「もう兄さんったら・・・」
「やると思った・・・」
頭を抱えながら悩むようなしぐさをする明日香と亮
「吹雪さんらしいな。あの人は常に皆を楽しませようとしている」
楽しんでいる� �うに小さく微笑みながらそう呟く一真
そんな彼の横で、十代は「吹雪さん似合ってるぜ~」と笑いながら声援を送っている
そして吹雪は舞台でMCを続ける
『年に一度のクリスマス!この聖なる夜を、そしてこのデュエルアカデミア・クリスマスパーティを、皆で楽しんでいこう!!!』
その言葉に、吹雪への歓声はより強くなる
『さて、始まっていきなりなんだが、皆もびっくりするようなゲストを呼んでいるよ!』
ザワザワ
会場がざわめく
「ゲスト?そんな話聞いてないが・・・」
眉をひそめ、疑問に思う一真
「一体誰なんだなぁ?」
「あっ?!クリスマスだからさ、サンタさんとかじゃねぇか?」
「何を言うか馬鹿が!!サンタはクリスマスに出てくる、只の空想の人物!実在するはずが ない!!」
十代の発言に対し、馬鹿にしたように言い放つ万丈目
その言葉に周りから非難の声が上がる
「あ~あ~。万丈目君、夢のないこと言うんだね」
「クリスマスを楽しみにしている子供達の夢を壊すような言葉だな」
「そんな事は分かってるんだなぁ。でもそういう話があるから、クリスマスはより楽しくなるんだなぁ」
「少々、言葉に度が過ぎたな万丈目」
上から翔、三沢、隼人、一真と彼に非難を浴びせる
それらの言葉に、彼は少しシュン、としたように落ち込んでしまった
そして吹雪のMCが体育館に大きく響く
『それでは、クリスマスに相応しい、この人に登場していただこう!!どうぞ!!!』
そういうと再びライトが消灯され、当たりは闇に染まる
するとゆっくりと舞台� ��白くライトアップされ、スピーカーからは鈴を鳴らすような、シャンシャンシャン、という音色が響く
すると舞台の袖から1人の人物が現れた
赤く染まり、白いラインの入った帽子に服
そして担いだ大きくて白い袋
真っ白なひげを生やし、温厚そうな顔をした老人のような人物は、舞台の真ん中へ歩き、スタンドマイクを手にする
『デュエルアカデミアの皆さん!メリークリスマス!!!』
ラウンドtuitは何ですか
クリスマスイブの夜、よい子にクリスマスプレゼントを与える老人、サンタクロース
オオオオオオオオッッッ??!!!!!
その人物の登場に、会場は一気にテンションが上がる
「ほら言ったじゃねぇか!!サンタさんじゃないかって!!」
「バ、バカな・・・だが確かに誰かが変装しているわけでもなさそうだが・・・」
思わぬゲストに喜ぶ十代の隣で唖然としながら舞台の中央にいるサンタクロースを見つめる万丈目
「ウソ・・・」
口を両手で押さえ、驚きを露にする明日香
亮は無言のまま、目を見開いて口を小さく開けている
翔、隼人、三沢も、大きく眼を見開いて、顎が外れそうなくらい口を大きく開けていた
するとサンタはマイ� ��を片手に続けていく
『皆さんは一生懸命、この学園でデュエルモンスターズについて勉強してきたと思います。そこで・・・』
言葉をいったん区切ると、担いだその袋を舞台の床へ、ドスンッ!、という音と共に置いた
『皆さん全員にクリスマスプレゼントを差し上げましょう!!!』
ウオオオオオオオオオっっっっ???!!!!!
さらにテンションがあがる生徒達
体育館は、大きな熱気に包まれる
『ただし!!!』
しかしサンタクロースのその言葉でその歓声はぴたりとやんだ
『皆さんもデュエリストです。皆さんの中から誰か代表としてデュエリスト1名が私とデュエルをし、勝てたなら、皆さんにプレゼントを、負けた場合はプレゼントは、無しです!!』
えええええええっっっ???!!!!!
生徒達から、� ��っきの歓声とは打って変わってのブーイングが巻き起こった
するといったん舞台から退場していた吹雪が出てきてマイク片手に口を開く
『さあ諸君!君達の中からサンタさんに挑戦する人はいないかなぁ?勝てば皆に素敵なプレゼントがもらえるぞ!!』
「よし!じゃあ俺がデュ「いや十代、俺が行く」」
さっそくデュエルに掛ける情熱が強い十代が立候補しようとするが、一真も名乗りを上げる
「そんな、俺だってサンタさんとデュエルしたいぜ?!」
「悪いがそれは俺も同じだ」
いつもはクールながらも楽しむことを好んでいる一真も十代相手に退こうとしない
すると・・・
「じゃーんけーん!!」
不意をつくように大きく腕を振り上げる十代
その行為にいつも冷静な一真は当惑する
� �なッ?!十代ッ?!!」
「ポンッッ!!!」
当惑しながらも一真は反射的に手を突き出した
考える時間も与えない内に奇襲を仕掛けてきた十代
その結果は・・・・
「くっっそおおおぉぉぉぉ!!!」
「不意をついて負けるなんて・・・」
「アニキかっこ悪いっす・・・」
呆れた様に呟く隼人と翔
三沢、明日香、亮も頭を手に当てながら苦笑している
「じゃあ、悪いが行って来る」
そういうと舞台に向けて歩き出す一真
「頑張るんだなぁ、一真!」
「一真君、頼んだっすよ!!」
「クリスマスプレゼントがもらえなかったら、貴様のせいだからな!」
「頑張ってね一真君!」
「期待しているぞ!!」
「楽しんでくるといいぞ」
「面白いデュエル見せてくれよ!!」
隼人、翔、万丈目、明日香、三沢、亮、十代の順に彼の背中に声を投げかける
その言葉に一真は、振り返らずに、右手を挙げて答えた
『さあ、誰がデュエルを「吹雪さん」』
舞台でデュエル出場を促す吹雪のもとに、一真が歩み寄る
「俺が行きますよ」
「おおおっ!さすが一真君!健闘を祈るよ!」
一真に目を向けそういうと、再び全校生徒へ語りかける
『諸君!挑戦者がたった今決まった!� �戦者は、あのキング・オブ・デュエリスト、武藤遊戯さんが認めた期待の一年生の1人、黒崎一真君だああぁぁぁぁぁっっ!!!』
吹雪のMCにも熱が入り、それをきいた生徒達はさらに熱のこもった声を一真へ投げかける
「いけぇ一真!頼んだぞっ!』
「一真君頑張ってぇ!!」
生徒達の声援にも腕を挙げてこたえ、デュエルディスクを腕に装着する
そして対戦相手であるサンタクロースの前に立つと右手を差し出す
「よろしくお願いします。プレゼントは頂きますよ」
「こちらこそ。そう簡単にはいかないよ」
互いに笑みを浮かべながら握手を交わすと、背を向けてある程度の距離をとる
そして一真は腰の後ろにあるカードケースからカードの束、デッキを取り出すと、左腕のデュエルディスクへとセットした
デュエルディスクのオートシャッフル機能が作動する
「互いに準備はいいようですね・・・行きますよ!!」
� ��よしっ!!」
「「デュエルッッ!!!」」
そしてこの聖なる夜に、
全校生徒へのクリスマスプレゼントを賭けたデュエルの火蓋が、切って落とされた
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