絵本とわたしとこどもたち:冒険や旅をする話
それは、息子に秋に読んでもらったから、という理由が大きいのだけど。
なんとなく、気候もいいし、食べ物も美味しいわで
秋は旅に出たくなります。
いろいろな新しいものに出会いたくなります。
昨日の日経新聞の朝刊の中面の全面広告は旭化成でした。
そのコピーがよかったです。
昨日まで世界になかったものを。
企業の開発組があらゆるものを作り上げる力や内容に
ついてのコメントは差し控えることにして・・・。
でもこのコピー。 ぐっと来るものがありました。
自分の世界だけで見ると
旅に出れば、新しいものと出会います。
旅先で出会った友人は、昨日まで自分の世界になかったもの。
例えをあげたらきりがないほどに、それはあるわけで。
旅は、どこか違う土地に行かなくても
新学期も、新しい学校も、 どれも小さな旅だと思うのです。
2学期になって、周りの成長や自分の成長に戸惑っている子がいたら
この「きりぎりすくん」は、おすすめです。
hannakahは何ですか?
きりぎりすくん
アーノルド・ローベル 作
三木 卓 訳
文化出版局
きりぎりすくんは
たびに でたいと おもいました。
「ぼく みちを みちを みつけるんだ。」
と、いいました。
「ぼく その みちを
どこまでも いくんだ。」
すると ある あさのこと
きりぎりすくんは みちを みつけたんです。
こうして、きりぎりすの旅ははじまりました。
そして6回、こだわりさんたちにあうのです。
それが、もう見事なまでのこだわりを持ち、譲らない。
自分の信じる道がはっきりしていて
誰の言うことにも耳を貸さない。
あまりにも変すぎて笑えてくきます。
まずは、おはようをこよなく愛す虫団体に遭遇。
とにかく朝がだいすき!さいこう!
みたいなプラカードを持っている。
ところで、この団体、仲間を増やすためのプラカードなのか?!
ときにイエスがキリストになったのですか?
あさが好きだというきりぎりすを歓迎するけれど
ひるも好きだといったばかりに、怒りを買い
もうくちゃくちゃ。
でも、きりぎりすはひるみません。
次は、文句ばかり言ってくるあおむし。
彼のお家はりんご。
そうこうしているうちに、坂道をころがり
りんごは木っ端微塵。
家がなくなったきりぎりすは、青虫に同情するけれど
「しおどき」だと言う青虫。
潔癖性というより、つい見つけてしまった小さなほこりから
どんどん、隣のほこり、そのまた向こうのほこりと
気にしてしかたない、いえばえ。
この掃除ぶりは、綺麗好きというより
強迫観念さえ、大人の私は感じてしまう。
きれいだよときりぎりすが告げても
きたないっ、と掃きつづけるいえばえ。
最後は、おもいきりほこりが目にはいったので
何も言わずに退散するきりぎりす。
そして、どうしても自分の舟で渡ってもらうと
ふなたびを自慢する蚊。
時間で何をするかって絶対的に決めている蝶々たち。
飛べないきりぎりすを哀れんでばかりのとんぼたち。
それぞれが、深い意味があって、
これ、大人の絵本?と思うほど。
なぜカトリック教会で結婚?
最後に三木さんの訳者の言葉があるんだけど、
小学生にだって、わかりやすい言葉で
大切なことを伝えています。
世界には、色々な考えや癖やこだわりを持った人がいて
たまたま、この絵本は、きりぎりすくんが主人公だけど
これが、おはようだいすきの虫団体が中心になれば
まったく違うお話になります。
どこで共感するかは、それぞれだけれど、
誰でも、大切なものは、そのままでいいんだよ。
自分が共感できなくても、否定することはしてはいけないよ。
などなど、深いものがあります。
が、小学生にそこまで求めるのは無理でしょう。
でも、変な蘊蓄並べても仕方ないし、こちらの感想を強要したくないしね。
中学生なら、十分道徳で使える本ですね。
息子の心が迷いに迷っている時に
友人の
クラッベさんがセレクトしてくれたうちの一冊です。
読み終えた時の彼は
「おもしろいね。いろんな人が出てくるね。」
と登場人物を話しはじめ、怒りっぽい部分などは
誰々に似ているとか、これは誰に似ているなんて話してました。
最後に私に意見を求められたので言った言葉は
「クラスもおんなじだね、いろんな子がいて
そして、どの子も行動は違えど、一生懸命だね。」
あたらしい環境にまだなじめない子がいたら
それは「あたらしいたび」なのだと、
どうぞ、この本を読んであげてください。
北海道の旅
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